人間ドック コトハジメ
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「人間ドック」の名称は「dock」(船の建造・修理などを行う設備)から来ており、「船がドックで整備をするように、からだの検査を行うために病院に入ること」を意味しています。
がんや生活習慣病などの異常を早期発見するほか、自分の健康状態を把握し、管理するのが目的です。
一般的な健康診断との違いは、なにより「検査の精密さ」です。たとえば血液検査や尿検査などは健康診断でも受けられますが、検査項目の数は限られます。一方人間ドックの場合は、一般的な健康診断では調べられないような項目についても検査することができます。
このように、人間ドックでは画一的な検査ではなく、自分の気になる点を重点的に調べることができるという特長があります。
基本の人間ドックとは別に、専門の部位を集中的に検査するドックコースが設けられている医療機関が増えてきました。例をあげれば、レディースドック、脳ドック、PETドック、肺がんドック、心臓ドック、糖尿病ドックなど多岐に渡りますが、ここでは4つのドックコースについてご紹介します。
■レディースドック
女性特有の病気を調べるために行われるのがレディースドックです。 調べる項目は個人で選べますが、子宮の病気と乳がんを調べるのが主な目的になります。 子宮の病気には、子宮筋腫・卵巣腫瘍・子宮内膜症・子宮頸がん・子宮体がん・子宮肉腫などがあります。乳がん検査は、しこりの有無を調べるために、医師による触診が行われています。乳腺が発達した若い女性や、妊娠・授乳中の人は、超音波検査でのチェックが行われています。それに該当しない女性はマンモグラフィーでの検査を併用して受けることも可能です。 マンモグラフィー検査では、乳房を撮影代の上に載せ、ガラス板で挟んで、乳房を圧迫して撮影します。これは、乳房が脂肪や乳腺など軟らかい組織でできているため、そのままでは写りづらいためです。このときの圧迫が、人によってはかなり痛いと感じるため、「マンモグラフィーは痛い」ともいわれているようですが、実際には、痛みは人それぞれなので、構えずに受診してみましょう。
<費用>
3万円から9万円といった辺りが相場です。 乳房検査の際は、超音波検査かマンモグラフィー検査のどちらが良いか、ご自身の状態に合わせて選択し、子宮がんの検査の際は、子宮頚がんか子宮体がんと二種類の検査があるので、どの検査を受けられるのかをチェックしてみましょう。高額になる傾向がありますが、すべて併用して検査することも可能です。
■脳ドック
脳ドックは、通常の人間ドックでは調べきれない脳の異常を調べる検査です。 脳ドックの主体は、MRIとMRAによる脳内部の画像検査になります。MRIでは、腫瘍や脳動脈硬化、脳の萎縮状態などがわかります。また、MRAによる血管撮影では、脳動脈瘤や血管の小さな梗塞などが発見できます。脳は造影剤を使わなくても撮影が可能なため、副作用の心配はないと言われています。 針を刺さずに脳の血管を見る、TCD(経頭蓋ドップラー検査)という、血流や閉塞を調べる検査も行います。脳梗塞や、くも膜下出血などの病気の場合、脳の血管だけでなく、頚動脈の状態も重要になるので、頚動脈を超音波検査して、血栓などがないかどうかも調べます。
<費用>
最低でも3万円ほどで、高いところでは8万円ほどが相場です。 しかし、頭痛が続くなど、少しでも脳に異常を感じるようならば、ぜひ受けておきたい検査です。
■PET検査
PET検査は、がんの検査方法の一つです。がん細胞がブドウ糖をたくさん必要とする性質を利用し、ブドウ糖に似せた検査薬(FDG)を体内に注射すると、検査薬にがん細胞が集まります。その集まり具合を一度に撮影し、全身のがん細胞を一度に調べることができます。 CTやMRIが位置や形、大きさなどを映し出す形態画像を撮るのに対して、PETは細胞の活性度を映し出す機能画像を撮り、初期のがん細胞の発見にも力を発揮します。欧米では、「がんが疑われたらまずはPET検査を」という言葉があるほど、定着していると言われていますが、万能というわけではありません。糖を必要としないがん細胞、肝細胞がんや胆道がん、検査薬が尿と一緒に排出されてしまう泌尿器系のがん発見には、有効ではないとされています。それを補うため、CTやMRIと併用して検査コースが設けられているのが一般的です。
<費用>
PETの費用は10万円前後が相場ですが、基本的には人間ドックコースのオプションの中では、最も費用のかかるものといえるでしょう。これにCTやMRIを追加した15万円以上するコースも珍しくありません。
「各検査項目で何が違うの?」コンシェルジュに寄せられるよくある質問です。
ここでは各種ドックの検査項目の例をご紹介いたします。
※医療機関によって検査項目は異なります。
各種ドックの検査項目(例) ※医療機関によって検査項目は異なります。 |
人間 ドック |
脳ドック | レディースドック | PET 検査 |
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問診 | 一般事項・既住歴・家族歴・自覚症状 | |||||
身体計測 | 身長・体重・腹囲・体格指数(BMI)・体脂肪率 | |||||
血圧測定 | 収縮期血圧および拡張期血圧 | |||||
尿検査 | 糖・蛋白・潜血・沈査 | |||||
便検査 | 潜血反応検査(2回法) | |||||
血液検査 | 肝機能検査 | 総たんぱく・アルブミン・GOT・GPT・γ-GTP | ||||
腎臓系検査 | クレアチニン・尿酸 | |||||
脂質系検査 | 総コレステロール・HDLコレステロール・LDLコレステロール・中性脂肪 | |||||
糖代謝系検査 | 血糖値・HbA1C | |||||
血球系検査 | 赤血球数・白血球数・ヘモグロビン・ヘマトクリット・MCV・MCH・MCHC・血小板数 | |||||
感染症検査 | CRP | |||||
心電図検査 | ||||||
X線検査 | 胸部 | |||||
上部消化管(食道・胃・十二指腸) | ||||||
マンモグラフィー | ||||||
PET検査 | 眼窩から大腿部 | |||||
内視鏡検査 | 上部消化管(食道・胃・十二指腸) | |||||
超音波検査 | 肝臓・胆のう・膵臓・腎臓・脾臓 | |||||
乳房 | ||||||
子宮 | ||||||
頚動脈 | ||||||
MRI /MRA |
頭部 | |||||
下腹部 | 膀胱・前立腺・子宮・卵巣 | |||||
眼科検査 | 視力検査・眼圧検査・眼底カメラ | |||||
耳鼻科検査 | 1,000Hz(低音域) および 4,000Hz(高音域) | |||||
肺機能検査 | 肺活量 | |||||
医師診察 | 内科 | |||||
外科 | 乳房視触診 | |||||
婦人科 | 子宮内診 |
■問診
問診は、医師が患者の状態を判断し、治療方針を決めるために行います。医師は、患者の訴えを聞き、その後必要な情報を聞き出すために、これまでにかかったことがある病気やけが、現在服用中の薬、医薬品や家族歴などについて質問します。質問ののち、視診、聴診、触診、打診といった身体所見を行うのが一般的です。
診断を受ける前には、最初に問診票に必要事項を記入します。問診票に必要性のない質問はありません。たとえば、自身の病歴だけでなく、家族の病歴も検査診断をするための大きな手がかりになります。さらに、日頃の生活で気になっていることなどは気軽に問診の際に伝えましょう。
■身体計測
身長、体重の測定は、肥満とやせの度合いを判定するうえで客観的な指標になります。
この検査と各指標を表す式によって、身長に見合った体重か、肥満・やせに該当する体重かがわかります。
肥満の判定にはBMI(ボディ・マス・インデックス=体格指数)が用いられます。BMIは体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求めることができます。基準値は18.5~24.9でこれよりも数値が高ければ肥満、低ければやせと判定されます。たとえば、身長168㎝/体重78kgの男性の場合、BMIは78÷1.68÷1.68=27.63です。
身長に見合った理想体重は身長(m)×身長(m)×22で求めることができます。さきほどの男性の場合、理想体重は1.68×1.68×22=62.09となります。しかし、BMIが25を超えていても、血圧や血清脂質、尿酸などの数値が正常で合併症がなければ、減量の必要はありません。
低体重の多くは体質によるものですが、減量したわけでもないのに短期間で体重が減ったときは、身体的にも精神的にも病気を疑って受診しましょう。
■血圧測定
血圧値によって心臓のポンプ機能が正常かどうか、末梢血管の抵抗性の度合い、血管壁の弾力度などが推定できます。基準値は、最高血圧(収縮期血圧)100~129mmHg、最低血圧(拡張期血圧)50~84mmHgです。血圧値は、1回の測定値のみで正常・異常を判定することはできません。血圧は自律神経による影響や、ストレス、睡眠不足によって変動します。そのため、血圧値は検査時だけで判断するのではなく、継続的に経過をみていく必要があります。健診会場や病院で測ってもらう血圧は、緊張のためもあって、高めになることも往々にしてあるそうです。正確な血圧値を知るためには、いつも決まった時間に測定すること、10分くらいリラックスしてから測ること、いつも同じ姿勢で測ることなどが有効です。
■尿検査
血液中の老廃物を排出する役割を持つ尿を検査し、身体全体の異常を調べます。主に腎臓や膀胱の病気、糖尿病などを早期に発見できることがあります。
■便検査
便に血液が混ざっていないかどうか調べ、胃や小腸、大腸などの消化器の異常を調べます。
■血液検査
血液検査とは、血液を採取し、病状などを調べる検査ですが、血液検査と簡単にいっても、多くの検査項目があります。血液検査からは、主に貧血、肝臓の異常、腎臓の異常、高脂血症、糖尿病などの病気がわかります。便宜的に、検査項目を肝臓系・腎臓系・尿酸・脂質系・糖代謝系・血球系・感染症系の7つの分類でご紹介します。
- 肝臓系:
- 総たんぱく、アルブミン、AST(GOT)・ALT(GPT)、γ-GTPなど
- 腎臓系:
- クレアチニン、尿酸など
- 脂質系:
- 総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪など
- 糖代謝系:
- 血糖値(FPG)、HbA1Cなど
- 感染症:
- CRPなど
- 血球系:
- 赤血球(RBC)、ヘモグロビン、ヘマトクリット、MCV・MCH・MCHC、白血球(WBC)、血小板数(PLT)など
※医療機関によって検査項目は変わります。
■心電図検査
心電図の波形によって、心臓の拍動の異常や、狭心症、心肥大、不整脈といった心臓の異常や状態がわかります。心電図検査で異常が見られた場合は、疑わしい心臓病の種類に応じて、負荷心電図やホルター心電図、心臓超音波検査、冠血管造影などを行います。心電図検査は、両手と両足、前胸部に電極をつけるので、脱ぎやすい服で臨みましょう。
■X線検査(胸部、食道・胃・十二指腸)
胸部X線検査は、一般診療や健康診断などでも実施されている単純撮影を指します。この検査では、肺炎、肺結核、肺がん、肺気腫をはじめとする呼吸器疾患の有無、その程度を知ることができます。X線写真に円形に近い淡い陰影が見られるときは肺がん、境界のぼやけた白い影が見られるときは肺炎や肺結核が疑われます。X線は放射線の一種ですが、胸部単純撮影の際に受ける被爆量はきわめて低く、極端に撮影回数を重ねない限り、放射線障害を起こすことはまずないと考えられています。ただし、妊娠中または妊娠の可能性がある人は、胎児への影響が心配されますので、事前に必ず申し出るようにしましょう。
食道・胃・十二指腸のX線検査は、造影剤のバリウムを口から飲んで、食道から胃、十二指腸までを映し出す検査です。これにより、食道、胃、十二指腸のポリープ、潰瘍やがんなどが発見できます。正常な場合は全体が均一に白い映像として描かれます。検査当日は胃を空にしておく必要があり、原則的には、前日の夜9時以降は飲食を避けるのが無難です。ただし、服用している薬については、あらかじめ主治医に対応を相談しましょう。ちなみに、バリウムは、検査後1~2日以内に白い便となって排出されます。異常ではないので心配する必要はありません。
■内視鏡検査
先端に小型カメラのついたスコープという器具を挿入し、克明に観察します。内視鏡検査は、気管支、腹腔(肝臓、胆のう)、上部消化管(食道、胃、十二指腸)、下部消化管(大腸)といった部位や、バリウム検査で異常が疑われたときに、さらに詳しく調べるためにも行われることがあります。主にがんが疑われるときの検査として行われますが、潰瘍やポリープ、結核などの診断にも用いられます。最近では、バリウム検査か内視鏡検査か、いずれかを選べるドックコースが増えたようです。この検査では「生検」といって疑わしい組織を採取して、両性のものか悪性のものかを診断することもできます。
■超音波検査(心臓超音波検査、腹部超音波検査、乳房超音波検査、経膣超音波検査など)
超音波検査は、内臓の形や構造の変化がわかります。超音波検査は、体の表面にプローブ(探触子)という器具を接触させて、超音波を発し、その反射波をとらえてモニター画面に映し出します。動いている臓器については、そのままの動きを見ることができ、病気によってはこの検査だけで、ある程度十分な情報が得られます。超音波の利点は、何よりも受検者に苦痛を与えることなく、手軽にできることにあります。X線検査とは違って、被爆の心配がないので、短期間に繰り返し行うことができます。しかし、超音波は形態の異常を確かめる検査には適していますが、ごく微細な変化まではとらえきれませんので、異常が見つかった場合には、さらなる精密検査が必要です。
■MRI・MRA
MRIとは磁気共鳴断層装置のことをいいます。磁気の共鳴作用を利用して体内の様子を調べる検査です。検査時間は15分程度かかります。痛みは全くありませんが、機器の音がややうるさく感じられることもあります。MRIは、CT検査と違ってX線被爆の心配はなく、妊娠中でも初期以外は検査を受けられます。MRIは、各断面の画像を合成して立体的に見ることができるうえ、血管の状態も観察することができるので、ほとんどの臓器の診断に用いられます。また、MRI検査では造影剤注射によって、より強いコントラストをつけ診断精度を高めることもあります。
血管だけを鮮明に画像化する検査をMRA(磁気共鳴血管撮影)といい、全身の血管を見ることができます、とくに、脳動脈瘤など脳血管病変の発見に効果をあげています。
■眼科検査
眼科検査では、主に視力、眼圧、視野、眼底などを検査します。
視力検査は、近視、遠視、乱視など屈性異常がわかります。矯正視力では、使用中のメガネやコンタクトが適しているかどうかがわかります。検査のときに目を細めると正しい測定値が得られないので、目をふつうに開いた状態で検査を受けましょう。
眼圧検査は、高眼圧症や緑内障がチェックできます。眼圧を検査する主な方法には、角膜に直接触れず、角膜に圧縮空気を瞬間的に吹きつけて測定する、角膜非接触法と、麻酔薬を点眼し、細隙灯顕微鏡を使って一瞬だけ角膜に触れて測定する角膜接触法があります。どちらも痛みはありません。
視野を測る検査からは、緑内障をはじめ、多くの目の疾患がわかります。網膜や視神経の病気や脳腫瘍の発見にも有効になる場合があります。
眼底検査は、散瞳薬を点眼して瞳孔を広げて、眼底を観察します。瞳孔は、体の中で唯一、血管や神経組織を肉眼で観察できるところです。この検査で、動脈硬化、網膜はく離、眼底出血、緑内障などの目の病気が発見できます。検査は数分で終わりますが、散瞳薬の影響でしばらくは瞳孔が開いたままになり、光がまぶしく感じられます。そのため、検査後は自動車などの運転は控えた方が無難です。
■耳鼻科検査
聴力検査は、オーディオメーターという装置が発する特定の周波数を少しずつ強くしていきながら片耳ずつ聞かせて、初めて聞こえたときの段階を聴力として診断します。軽度難聴のレベルでは、加齢による難聴や、一過性の中耳炎、耳垢の詰まりなどが疑われます。また、難聴の中には、長年、爆発音や騒音にさらされたために起きる騒音性難聴もあります。
■肺機能検査
肺の容積や、空気を肺に出し入れする換気機能のレベルを調べる検査です。呼吸器疾患の有無、その重症度などを知ることができます。